ξ゜凵K)ξが音楽室にいるようです



209 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/30(火) 00:25:45.90 ID:SGr607VxO
ξ゜凵K)ξ「……」

鍵盤に指を落とす。
いつもならやさしく包んでくれる音が、今日はやけに癇に障って仕方ない。
腹立ちまぎれに乱暴に椅子をひくと、床が控えめな悲鳴を上げた。



  「ξ゜凵K)ξが音楽室にいるようです」

210 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/30(火) 00:28:42.22 ID:SGr607VxO
ξ#゜凵K)ξ(バカ…バカ……バカ!)
勢いに任せて叩く、叩く。強さに見合っただけの尖った音がした。
ピアノは好き。幼稚園の頃からずっと続けている。
練習をすれば報われるから。気持ちをこめて弾くと、応えてくれるから。
楽しい音、やさしい音、悲しい音……少し人付き合いの苦手だったわたしにとって、
素直に気持をそそぎ込める時間は貴重で……
そしてその時間のおかげで、今のわたしは少しだけ素直になり……良い友人に囲まれ
ている。と思う。

だから、こんな風に……まるで痛めつけるように乱暴な力で鍵盤を叩くことなんてなかったのに。
酷い音を出しながら、それでも慣れた指は滑らかに動く。それが更に苛つかせる。

ξ )ξ(……こんなことしたくないのに)

叩き付ける指が痛む。こころも、いたむ。


同じことをしてる。あいつにしたのと、同じことだ。

211 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/30(火) 00:31:16.00 ID:SGr607VxO
本当はあんなこと言いたくなかった。

ξ )ξ「バカ……」


『何よニヤニヤして……!』


ξ;凵G)ξ「……っ」


ぽた、ぱたり。止まってしまった手の上に冷たい滴が落ちる。

バカなのは、わたしだ。

みっともない嗚咽が喉から洩れそうになって、必死に息を止めた。
色んな感情でぐちゃぐちゃ。もう、自分が怒っているのか、悲しんでいるのかもわからない。


『いい加減にしてよ!あんたのそういうところがむかつくの、大っ嫌いなの!』

絶えないと思っていた笑顔を、凍り付かせた。
どれだけ自分が傲慢だったか、怒らないあいつに甘えていたか……その時初めて気付いた。
きっともう、取り返しなんてつかない。後悔が昂ぶった暗い感情とともに渦を巻いて深くへ沈んでいく。

212 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/30(火) 00:33:35.08 ID:SGr607VxO
ガラッ


( ^ω^)「愛のビップ戦士参上だお!!」


ξ;凵G)ξ「……」


扉の開く音に身をかたくしながら入口を覗うと、予想だにしなかった、でもずっと頭の中にあった……今一番会いたくないはずだった顔がそこにあった。

一瞬頭が真っ白になる。


( ^ω^)「ブーンが来たからにはもう大丈夫だお!後楽園で握手だおっおっ」

いつも通りの、能天気な顔。わらった、かお。


ξ;д;)ξ「な……」

( ^ω^)「お?」

ξ#;Д;)ξ「なんで笑ってんのよ!!!」

(;^ω^)「お……」

214 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/30(火) 00:36:53.98 ID:SGr607VxO
頭に血が上る。まただ、感情のコントロールがきかない。こいつの、ブーンの前だと……
何でそんなに優しくいられるのか、理解出来なくて……なのに惹かれる自分に、混乱して。
そうして、ただ相手を突っぱねようとしてしまう。


ξ#;д;)ξ「あんなこと言われても懲りないの?またヘラヘラして!バカじゃないの!?」

止めて!止めて……!お願い、止めて、わたし!!


ξ#;凵G)ξ「大体ビップって何よ!それじゃBIPじゃない!学校の名前勝手に変えないでよね!バカ!バカ!ここはVIPよ!!」


(;^ω^)「つ、ツンっ!!」

ξ#;凵G)ξ「なによ!!」

必死な顔でわたしを制止しようとしたブーンが、意を決したように大きく息を吸いこむ。
そして


( ^ω^)「ちんちんーーーかもかもーーーー!!!!11!」


216 名前:愛のVIP戦士[正直顔文字はわからない指摘タノム] 投稿日:2007/01/30(火) 00:40:34.01 ID:SGr607VxO
ξ;凵G)ξ「……は?」

突然奇声を上げたブーンの迫力に、呆気にとられる。
思わず黙ったわたしを見てブーンの笑みが深くなった。そんなことに動揺する。

( ^ω^)「ショボンが教えてくれた仲直りの呪文だお!これできっと大丈夫なんだお!」


ξ゜凵K)ξ「……」

余りに自信たっぷりに、嬉しそうに言うものだから、ついその顔をまじまじと見つめてしまう。すっと冷めたようにヒステリーは治まっていた。

(*^ω^)「泣き止んだお!凄い効き目だお!!」

興奮気味にブーンが近付いてくる。不意にその姿がぐにゃ、と歪んだ。
まぶたがあつい。さっきまでの冷たい涙と、違う涙。鼻がつんとする。

(;^ω^)「お、お?つ、ツン?」

「見ないで……」

手で顔を覆うと、流れるままに任せた。
どうすればいいんだろう。
こんな情けないところまで見られたのに、そんなことよりもまた笑いかけてくれるのが、心配してくれるのがこんなに嬉しいなんて。

219 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/30(火) 00:43:14.48 ID:SGr607VxO
「……ツン」


ブーンの声が聞こえる。塞いだ視界の外から包んでくれるような声。ピアノより、やさしい声。


「ツンの気に障ることをしてしまってたのは謝るお。ごめんお。ブーンはバカだから、気をつかったりとか出来ないんだお」

ただ首を横に振る。ブーンはわかってない。少しも自分が悪くないことを。

「でもツンが泣くのは嫌なんだお。ブーンに出来ることがあったら何でも言うんだお」

今度は縦に。顔を見ていないせいか、散々みっともないところを見られたせいか……いつもより素直にその声を聞くことが出来た。


「ブーンは愛のビップ戦士だから、ツンのためにたたかうことだって出来るんだお」

思わず顔を上げる。

( ^ω^)「おっおっ」

いつもの笑顔だ。


ξ;ー;)ξ「……VIPでしょ、ばか…ばぁか……」

220 名前:愛のVIP戦士[>>217 そ れ だ] 投稿日:2007/01/30(火) 00:46:39.27 ID:SGr607VxO
荒れ狂った心が凪いでいく。だんだん、だんだん、静かになっていく。
嵐の正体は不安。ブーンが誰にでも笑いかける、バカみたいに優しいおひとよしだから。
きっとその目は、まだわたしだけを見ているんじゃないと思う。

でも、それでいいんだ。

それも笑顔に溶かされて……やさしい子守唄のおわりみたいに、デクレッシェンドにきえる。


またそっとピアノに近付いて、最後の音にふれた。

やさしく、波紋がおちていく。



「ねえ、ブーン……ごめんね」

今、わたし、どんな顔をしてる?

「わたしね……」




       ξ゜凵K)ξが音楽室にいるようです 終


221 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/30(火) 00:49:51.29 ID:SGr607VxO
  蛇足


('A`)「あの二人……うまくやったかなぁ」

(´・ω・`)「大丈夫だろ」

('A`)「ところでさ、なんなんだよ?ちんちんかもかもって。余りに語感がアレじゃねえか」

(´・ω・`)「……すぐ下ネタに結びつけるね。ちんちんかもかもってのはね、男女が仲睦まじい様子を表す言葉だよ」

('A`)「へ、へぇー……勉強になったぜ」


(´・ω・`)「……だが、下ネタでと言うならば……一向に 構 わ な い が 」

(;'A`)「えっ ちょ ま おまアッー!!」




ちんちんかもかもを本文内に入れるのが本当にハードル高かった…
語感がアレな言葉は難しいw
適当に批評とかしてくれるとうれしい。顔文字はやっぱりひどかったか…サーセンww

レイアウト結構崩れた…携帯って扱い難いな…これで投下してる人ら凄いな



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