(*゚ー゚)しぃはいろいろわかっていないようです。


463 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/11(日) 00:29:20.19 ID:69/gxf700
プロローグ

妄想なのかも知れない。
夢の範疇を超えない脳内の創造物だろうか。
それらにしては、あまりにもリアルすぎる何かを、彼女は感じていた。

三メートル四方の密室。
たった一つの小窓には鉄格子がはめられている。
外は薄暗く、場景を窺い知ることは出来ない。

(*゚ー゚)「……」

彼女が座り込んでいる、その向かい側には頑丈そうな鉄扉。
それを押しても引いてもどうにもならないことは、なぜか理解していた。
同時に確信を持つ。
やがてその扉は開かれ、一人の男が現れる、と。

思考に浸るわけでもなく、しぃは石でできた壁に背を預ける。
来訪者に、今日こそは質問せねばならない。
そして、答えを聞かねばならない。

464 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/11(日) 00:29:49.97 ID:69/gxf700
やがて、思い通り扉は開く。
現れた男は、いつもと同じように憔悴しきった表情を浮かべていた。

(*゚ー゚)「こんにちは」

一応、挨拶する。
しかし男は何も応えず、着用していたコートを脱いで部屋の隅に放った。
ただその視線は、しぃに向かって固定されている。
揺るぐことなく。

(*゚ー゚)「あなたは、誰なんですか?」

物怖じせずしぃは尋ねる。
この問いかけをいったいどれほど繰り返しただろう。

(´・ω・`)「……何も、教えることはない」

男は、呻くように小さく呟いた。

しぃは立ち上がる。
この後の展開は、目に焼き付けるには厳しい。

465 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/11(日) 00:30:49.83 ID:69/gxf700
男の横を通りすがろうとした瞬間、彼の顔面から何かがこぼれ落ちた。
意識もせずに床を凝視する。
それは眼球だった。やがてもう一つも落下し、床に転がる。

男は、ゆっくりと首を傾けた。
窪んだ眼窩は何かを語りかけているようだが、残念ながらしぃに読み取ることはできない。

そのうち、髪の毛が抜け落ちた。
それが終わると、今度は全身の皮膚が小さな破片となって降り積もる。

理科室に置いてある血管の浮き出た赤黒い模型のような姿になると、こんどは血管が破れ始めた。
動脈血と静脈血が混じる。衣服も同時に脱げ落ちる。

関節さえも削がれた骨がバラバラになって床に落ち、分解は終了した。

様々な人間の部品が最早確認不可能の状態でうずたかい小山を形成している。
音を忍ばせ床を侵す血液が遂に彼女の足下にまで到達した。

(*゚ー゚)「……また、か」

しぃは無意識にそう呟いた
そして、彼女は部屋を出るのである。

室外は光で満たされていた。
しかしそれを確認する間もなく、夢は終焉を迎える。

466 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/11(日) 00:31:15.44 ID:69/gxf700
目覚めた時が夜なのか昼なのかも、正確にはわからない。
ただ枕元に置かれている目覚まし時計が示す時間を盲信するしかないのだ。

あと二時間は眠れることを確認し、再び目を閉じる。
少しだけ、夢の中の男からまた答えが得られなかったことを後悔していた。

監禁生活が始まってどれぐらい経過しただろう。
同じ生活を繰り返す中、日にちの感覚などとうに欠けていた。

(*゚ー゚)「……」

もそもそとしぃは起き出して、部屋の明かりを灯した。
そして学習机に座り、手頃なノートを開ける。

(*゚ー゚)「えっと、どう書けばいいのかな」

迷ったあげく、彼女は最初の行に「一日目」と記した。

今までどうしてこんな方法に気づかなかったのだろう。
日記をつけていれば日にちの確認ができるに違いない。
思い立った彼女は、まず夢について記すことにした。


(*゚ー゚)しぃはいろいろわかっていないようです。

こんな感じのプロローグなんだけど、ちょっと批評感想などお願いしたいです。



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