第五話  後編

30 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:16:53.46 ID:DuoPWeoZ0
箸が鶏肉をつつく音が、たちまちよくわからない笑い声に変わる。
それから、阿鼻叫喚の空間に至るまで、それほど時間はかからなかった。

(*゚ー゚)「おいおい、冗談じゃねーよ!」

(´<_` )「おう?」

(*゚ー゚)「だから最近の若者はダメだって言ってるんだ。
     そもそも、奴らは口ばっかりで行動が伴っていない。
     今だってそうだ。俺の鶏肉だってのに、このバカが先に食いやがった。
     もう俺MK5? みたいな感じだよ。
     要するにおっぱい」

(´<_` )「どうなったんでしょうか」

( ,,゚Д゚)「しぃは……酔うとイタコになるんだ」

(´<_` )「憑き上戸ですか」

( ,,゚Д゚)「がっはっは、おめぇ上手いこと言うなあ!」

(´<_` )「にしてもあのしゃべり方……どこかで……」

(*゚ー゚)「なーにジロ×2見てるんだYO!」

(´<_` )「あ……」

32 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:17:48.23 ID:DuoPWeoZ0
( ゚∀゚)「あーもう、これだから近頃の若者はだめなんだよな。
     命を命と思ってねえんだ。
     てめえのタレが腹痛めて産んだ子だろう?
     つーか捨てるなら最初から産むなボケ。
     つまりおっぱい」


( ゚∀゚)→(  ∀ )→(   )

(´<_` )「あの警備員、死んだのか」

四月一日午前八時二十二分。
長岡ジョルジュ スズメとバトルして敗北。死亡。

弟者は胸の中で、静かに黙祷を捧げた。

( ,,゚Д゚)「まぁそのうち元に戻るから気にするこたぁねえよ」

(´<_` )「はあ、そうですか」

(*゚∀゚)「おとじゃくん……」

(´<_` )「ん?」

33 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:18:17.24 ID:DuoPWeoZ0
(*゚∀゚)「おねがい……わたしをだいて……」

(´<_` )「……」

(*゚∀゚)「えっと、初めてだから……やさしく、してね?」

(´<_` )「これも憑いてるんですか?」

( ,,゚Д゚)「いや、違うな。
      つーは酔うとアダルトゲームのヒロインみたくなる」

(´<_` )「対処法は?」

( ,,゚Д゚)「選択肢を間違わなければ最後まで持ち込めるかもしれねえな」

(´<_` )「……」

(*゚∀゚)「や、やっぱり、いきなりこんなこと言うなんて……わたし、エッチな子なのかな?」

(´<_` )「とりあえず死ね」

34 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:18:39.74 ID:DuoPWeoZ0
(´<_` )「で」

( ,,゚Д゚)「おう?」

(´<_` )「あなたは今、どんな感じですか?」

( ,,゚Д゚)「俺はいつもと変わらねえよ」

(´<_` )「異議あり! その証言はムジュンしています!」

( ,,゚Д゚)「な、なにぃ!?」

(´<_` )「まず一人称が違う。いつもは「私」なのに今は「俺」だ!
       しかもなんかしゃべり方が男だ!」

( ,,゚Д゚)「ぐ、ぐぐぅ!」

(´<_` )「裁判長!」

(*゚∀゚)「ほえ?」

(´<_` )「とまあ、三文芝居はこのあたりでやめておいて」

(´<_` )「あなたは酔うとオカマじゃなく普通の男になるんですか?」

35 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:18:58.83 ID:DuoPWeoZ0
( ,,゚Д゚)「おいおい、冗談はよし子ちゃん、だぜ?」

(´<_` )「そのギャグをなぜ言う気になったのか」

( ,,゚Д゚)「言っただろう、俺の恋愛は男ありきだって……」

(´<_` )「し、しまった!」

( ,,゚Д゚)「いいのかい? ホイホイ人の素性を明かしちゃって。
      俺は恋人の弟でも構わず食っちまうオトコなんだぜ?」

(´<_` )「つまりオカマがホモになるわけですか」

( ,,゚Д゚)「それよりこの」

(´<_` )「あれ、アホサスは?」

先ほどから姿が見えない。
弟者が立ち上がり、泥酔した一家を尻目にアホサス探しに出かける。

36 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:19:33.22 ID:DuoPWeoZ0
アホサスはベランダに立っていた。
それほど広くない、洗濯物だけで埋め尽くされそうな場所。

('、`*川「フッ……」

(´<_` )「酔うとハードボイルドになる系?」

('、`*川「違うわよ。私は強いから」

(´<_` )「ああ、そう」

('、`*川「なに、私を探しに来てくれたの?」

(´<_` )「自惚れるな」

('、`*川「ひどいな」

そのまま戻ろうとする弟者。
アホサスが慌てて呼び止めた。

('、`*川「ギコさんたちはまだ酔ってる?」

(´<_` )「そりゃあもう、すごく」

('、`*川「じゃあ酔いが覚めたら教えてね」

(´<_` )「いやだ」

('、`*川「えー」

37 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:19:56.02 ID:DuoPWeoZ0
ペニサスが頬を膨らませていると、室内から誰かの叫び声が聞こえてきた。

何事かと急いで戻る。
すると、しぃがありもしないマイクを握るようにして立っていた。

(*゚ー゚)「悪魔の森の奥深く……一見何の変哲もない古い屋敷……
     だがその一室からは、毎夜、毎晩……
     少女の悲鳴にも似た叫び声が聞こえる、とか?」

( ,,゚Д゚)「きゃぁぁぁぁぁ」

(*゚ー゚)「聞こえないとか……聞こえるとか?」

( ,,゚Д゚)「きゃぁぁぁぁぁ」

(´<_` )「少女だぞ」

('、`*川「まだ酔ってるわね」

(´<_` )「いや、ギコがホモからオカマに戻っただけまだマシ」

突如勃発したカラオケ。
或いは雄叫び大会。
それは室内を越えて三階全域に轟く。

40 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:20:28.59 ID:DuoPWeoZ0
ピンポーン。

時刻は午後九時。

皆が真剣に歌い始めたところで、チャイムの音が耳を刺す。

( ,,゚Д゚)「誰よこんな時間に……」

ぶつくさ言いながらギコが扉へ。

( ,,゚Д゚)「はい?」

('A`)「あの」

( ,,゚Д゚)「何よおぼっちゃん」

('A`)「同階の住人だが……うるせえ」

( ,,゚Д゚)「あらあら、まだ三階に誰か住んでたのね」

(´<_` )「それ、どういう意味ですか?」

( ,,゚Д゚)「なんか私がここに来るようになってから住人が次々と退去してるらしいの。
      ……プレイの音が大きすぎたかしら?」

(´<_` )「それで挨拶回りしても誰もいなかったのか」

('A`)「そうだったのかよ……」

(´<_` )(兄者……ヒモっていうか、結構本気だったんじゃないのか?)

41 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:20:54.28 ID:DuoPWeoZ0
('A`)「とにかくうるせーよ。
    近所迷惑考えろ」

( ,,゚Д゚)「五月蠅いわね。文句があるなら出て行きなさい」

(´<_` )「なんという傲慢」

('A`)「そーいう問題じゃ」

( ,,゚Д゚)「ああそうだ、あんたも参加しなさいよ!」

('A`)「は?」

ギコの、意外と筋肉質な腕がニュッと伸びてドクオを捕らえる。

('A`)「いやいやいや、勘弁」

( ,,゚Д゚)「室内はハーレムよ? オトージャ以外は全員女だもの」

(´<_` )「兄者は?」

( ,,゚Д゚)「一名様ごあんなーい」

43 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:21:20.19 ID:DuoPWeoZ0

連れ込む→飲ませる→酔わせる。

このプロセスを経るのにそれほど時間はかからなかった。

('A`)「うへぇ」

(´<_` )「なんかまともな酔い方だ」

('、`*川「一番マシだからいいんじゃない?」

他の皆はすでに酔いが覚めている。

(*゚∀゚)「しぃ、私何か変なこと言わなかった?」

(*゚ー゚)「え? さ、さぁ」

('A`)「あー、ほうはひらひへほひへるへは」

( ,,゚Д゚)「よし、お姉さんが尋問しちゃう」

44 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:21:45.00 ID:DuoPWeoZ0
( ,,゚Д゚)「お名前は?」

('A`)「ドクオ」

(´<_` )「はっきり喋れるのか」

( ,,゚Д゚)「年齢は?」

('A`)「25」

( ,,゚Д゚)「職業は?」

('A`)「ニイイイイイイイイイイイイイイトオオオオオオオオオオオオオオオ」

('、`*川「なんでテンション上がったの?」

(´<_` )「知るか」

( ,,゚Д゚)「家族と一緒に住んでるの?」

('A`)「一人暮らし」

ギコの顔が曇る。

45 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:22:20.68 ID:DuoPWeoZ0
( ,,゚Д゚)「このマンション広いのに」

(´<_` )「ヒモと同じようなもんだ」

( ,,゚Д゚)「アニージャはいいのよ。所詮この世は顔だし」

(*゚∀゚)「顔出し? 顔射?」

( ,,゚Д゚)「なんで一人暮らししてるの?
      もしかして金持ち?」

('A`)「親には都会の大学に行ってると申しております。
    バカな親なのでだますのは簡単でしたはっはっは
    今は仕送り生活真っ盛りはっはっは」

( ,,゚Д゚)「……」

(*゚∀゚)「おう、いっつくれいじー」

(´<_` )「俺には到底考えられない話だ。
       母者をだます? ……死にたくない死にたくない」

46 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:22:49.09 ID:DuoPWeoZ0
( ,,゚Д゚)「仕送りは月いくら?」

('A`)「13万円。足りない部分はバイトで補う」

(*゚ー゚)「一人なら十三万で十分でしょ」

('A`)「……アスカ」

(*゚ー゚)「は?」

('A`)「アスカに貢がないといけない。
    そのために金に糸目をつけられない」

(´<_` )「アスカって?」

(*゚∀゚)「エヴァだね」

( ,,゚Д゚)「またありがちな」

(*゚∀゚)「そのキャラで一人エッチしてる人なんて世に数多といるだろうにね」

('A`)「ああ、アスカが帰りを心配する」

47 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:23:17.13 ID:DuoPWeoZ0
フラフラと立ち上がるギコ。
そのまま玄関へ。

閉まる扉。
残された五人は唖然と。

('、`*川「なかなか強いね」

(*゚∀゚)「25って私と同い年じゃん」

( ,,゚Д゚)「……はぁ、すっかり酒がまずくなったわね」

連れてこなければ良かった。
ギコが吐き捨てる。

(*゚ー゚)「……どうする?」

(*゚∀゚)「飲む」

(*゚ー゚)「まだ飲むの?」

(*゚∀゚)「湿っぽいもん」

48 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:23:40.17 ID:DuoPWeoZ0
('、`*川「おっと、その前に!」

いきなりアホサスが大声をあげる。

( ,,゚Д゚)「どうしたのアホサス」

(´<_` )「ああアホサス、あなたはどうして阿呆なの?」

('、`*川「これから私がメインで進めさせてもらいます」

(*゚∀゚)「よっ、アホサス!」

(*゚ー゚)「アホサスって珍しい名前だね」

(´<_` )「ですよねー」

('、`*川「では」

こほん。
一度せきをして、アホサスは聴衆を眺望する。

大きく息を吸い込んで。

('、`*川「これから重ひょうひゃっ」

49 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:23:58.22 ID:DuoPWeoZ0
('、`*川「……」

(´<_` )「……噛んだな」

(*゚∀゚)「噛んだね」

(*゚ー゚)「どうする?」

( ,,゚Д゚)「とりあえず、飲みましょ」

(´<_` )「あーあ、余計に雰囲気が悪くなった」

('、`*川「……うえぇぇええん……」

・・・

・・



第五話 おしまい






  ←戻る ↑home