295 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/24(水) 20:36:21.49 ID:1knqomE90
冷戦期の全面核戦争により、地球上の全ての土地は「廃墟」と化した。
空は厚い黒雲に覆われ、太陽の光は地上へ届く事は無い。
人々は荒れた土地に「コロニー」と呼ばれる大きなドーム型の巨大建造物を各地に作り、その中で生活を営んでいた。
そしてコロニーの外に広がる無限の大地を、人々は『外界(アッシュ)』と呼んでいた。
そこは、人々の知らない、未知の領域だった・・・



(;^ω^)「はぁはぁ・・・」

僕は走っていた。
「外界」へと繋がる連絡路を。

コロニーの「人工天候装置」の太陽光も届かない、長い長い通路。
僕はそこを懐中電灯一つで走っている。

(;^ω^)「はぁはぁ・・・あと少しで・・・アッシュ(外界)だお・・・」

そもそも僕は何故、
「立ち入り禁止区域」である外界への道を進んでいるのか。
その答えは簡単だ。

( ^ω^)「大人は皆『“外界”に行ってはいけない』とか言うけど、本当は天国のような風景が広がっているんだ・・・と思うお!」

そう、コロニー内の全ての人間は外界に行くことを拒む。
僕はその理由が知りたかった。

もちろん、一人で行くのは怖いが、友達を誘っても誰一人として付いてきてくれる人が居なかった。
一時はあきらめたものの、やはり気になることは放っておけないのが僕だ。

297 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/24(水) 20:36:41.74 ID:1knqomE90

(;^ω^)「それにしても・・・この連絡路は予想以上に長いお・・・」

そろそろ走るのも限界に近づいてきた。
それに、いつまで走っても懐中電灯が照らすのは薄汚れたコンクリートの地面。
まるで同じところを永遠に走っているかのような感覚だ。

(;^ω^)「そろそろ歩くかお・・・」

体力の限界に近づき、僕が徐々に足の動きを緩めていった時、
懐中電灯の照らす先に、今までとは違う、厚い鉄製の扉が立ちはだかった。

そう、ついに僕は“外界”への扉を見つけたのだ。

(;^ω^)「ついに・・・外界に行けるお・・・」

僕は、扉に回転式のハンドルが設置されているのに気がつくと、何のためらいもなく無意識のうちにそれを回していた。
何年も人が通っていないのか、ハンドルは回すたびにキィキィと金属音を立てている。
暫らく回していると、急にハンドルが軽くなった。
遂に扉が開いたようだ。

(;^ω^)「・・・」

僕は唾をゴクリと飲み込み、その冷たい鉄の扉を力いっぱい押した

(;^ω^)「・・・お?」
・・・が、扉が開く様子は無い。


298 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/24(水) 20:37:19.52 ID:1knqomE90

(;^ω^)「・・・」
よくよく考えてみれば、あれだけ行くな行くなといわれていた場所に、こんな簡単に行けるはずも無い。
しかも、僕のような子供一人で開けられるような扉では『外界』から、いつ敵が侵入するかも分からない。

(;^ω^)「・・・つくづく僕は馬鹿だお・・・」

僕はハァと大きなため息をつき、肩を下ろしながら来た道を引き返そうとした。

・・・その時だ。
僕の懐中電灯が、床になにやら突起物を照らし出した。

(;^ω^)「これは・・・」

見たところ、何かのレバーのようだ。

(;^ω^)「・・・えい」

いかにも「引いてください」と言わんばかりのレバー。
またしても僕は無意識のうちに、そのレバーを手前へと思い切り引いていた。

(;^ω^)「・・・なんだ、何も起こらな――」

いかにも意味有り気なレバーを引いたにもかかわらず、扉は開かないまま。
僕は一瞬の期待を見事に打ち破られ、思わず文句を言おうとした。


299 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/24(水) 20:39:08.96 ID:1knqomE90

しかしその時、ゴゴゴと鈍い音を響かせながら、目の前の扉がゆっくりと開いていくのが分かった。

(;^ω^)「げげ・・・開いちまったお・・・」

扉を開けて、外界へ行くことを目的として来たはずなのに、
いざとなると僕の心は軽い罪悪感と不安に満ちた。

しかし、せっかくココまで来たのだ。
友人達への土産話も無しに戻るのも気が引ける。

(;^ω^)「・・・いくお」

僕は恐る恐る、地面の感触を確かめながら「外界」の大地を踏みしめた―――


以上です。
これだけだと何も分からないかな・・・



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