631 名前:閉鎖まであと 78130 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:17:50.96 ID:VaV6vu/X0
いつからだろう。
私が、この『地位』に縛られてしまったのは。
いつからだろう。
私が、この『名誉』に捕まってしまったのは。
いつからだろう。
私が、この『喜び』を忘れてしまったのは。
いつからだろう。
私が、この『自分』を失くしてしまったのは───
635 名前:閉鎖まであと 77938 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:21:02.31 ID:VaV6vu/X0
私に向けられる黒い物体。
その中心にある丸いレンズに、私は顔を向けた。
突然の光、次の瞬間には別の物体が私を捉えていた。
「クーさん!コチラにもお願いします!」
「クーさん!クーさん!クーさん!」
私の名前を呼ぶ声。
別にお前等にクーさんと呼ばれる筋合いはない。
その向けられたカメラに、顔を向ける義理もない。
だけど、仕事。
嫌だろうが、義理がなかろうが、仕事だ。
コチラもお金は貰っている。
仕方がない事なのだ。仕事なのだ。
仕事のためには、『自分』なんていらないんだ。
637 名前:閉鎖まであと 77843 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:22:37.58 ID:VaV6vu/X0
「はいはい!ここまでここまで!」
専属マネージャーが私の前に立ちはだかる。
警服を着た男たちが、控え室への道を作った。
その作られた道のど真ん中を、私はドンドン進んでいく。
「あ、クーさん!最後に──
「クーさ──
「ク────
閉じられたドアの奥からは、まだ私を呼ぶ声が聞こえた。
私は止まることなく、その道を進んでいく。
行き着いた先は控え室、扉を開け、そして閉めた。
川 ゚ -゚)「……」
ようやく一人になれたと思う。
実際は、扉の前に大勢の人がいると言うのに。
川 ゚ -゚)「疲れた……」
私は控え室にある椅子に腰を掛けた。
一度だけ、息を大きく吐く。
やめよう、この仕事。
639 名前:閉鎖まであと 77746 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:24:14.10 ID:VaV6vu/X0
「クーさん!次、写真の撮影です!急いでください!」
閉じられた一人の世界が崩壊した。
重い腰を上げ、ドアの前へと向かう。
私はもう一度、アイドルへとなった。
川 ゚ -゚)「それで、今度は何の仕事だって?」
「写真撮影です!お願いしますね!」
マネージャーは早足で進んでいく。
そんなに急いでどうするバカが。
640 名前:閉鎖まであと 77523 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:27:57.52 ID:VaV6vu/X0
「ちゃーっす!」
「よろしくお願いしますー!!」
会場に着くと同時、大勢の人が頭を下げた。
大体いつもこうだ。
アイドルというだけで、まるで神様のような扱い。
私は、一人の人間だというのに。
そんな中、一人の男が目に付いた。
全員が頭を下げている中、ただ一人、足を組んで座っている。
やせ気味の体、虚ろな目。
('A`) 「おねがいシャース」
見たところ、20代前半か、ひょっとしたら10代かもしれない容姿。
次の瞬間、ソイツの頭にメガホンが飛んできた。
「バカヤロウッ!ちゃんとアイサツぐらいしろ!!」
「すいません……まだアルバイトでして……」
「仰せになれば、すぐにクビにでもなんでもさせますので……」
スタッフが私に近づいて頭を下げた。
確かに、私がこの地位になって、頭を下げなかったものは誰もいない。
大御所だろうと、アイサツぐらいはきちんと交わしてくれる様になった。
ところが、この男はそれをしなかった。
ただのバカか……それとも……
642 名前:閉鎖まであと 77372 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:30:28.43 ID:VaV6vu/X0
「ささっ、それよりも撮影を……」
私はステージの上に上がり、監督の指示に耳を傾けた。
「それじゃ、とりあえず最初は自由にポーズを取ってください〜」
自由に、といわれるのは実は困る。
私は片手を腰に当て、それと逆の足を前に出した。
これぐらいしか、自由なポーズはない。
「いいですね〜!」
パシャパシャと撮影の音が鳴り響く。
その様な状態で、10分が過ぎた。
「あ、すいません!!」
私のマネージャーが、撮影を止める。
何事かと思い、監督はその手をとめた。
「ウチのクーは食事時間にうるさいものでして……一度、休憩を挟んでもらっても?」
「ああ、そういえばそんな時間ですね。どうぞどうぞ」
もう食事の時間か。
いつも12時ちょうどに食べないと、気がすまないのだ。
643 名前:閉鎖まであと 77345 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:30:55.59 ID:VaV6vu/X0
「ホラ、お前!早く弁当持って来い!」
騒がしくなる会場。
スグにテーブルが用意され、食事の準備が進められた。
私はいつも「超高級弁当」しか食べない。
別に、他のでもいいのだが、マネージャーがこうしろと。
イメージの問題だとか。
('A`) 「ほいさ」
先ほどのアルバイトの男が、私のテーブルに食事を置いた。
……それは、「超高級弁当」ではなかった。
川 ゚ -゚)「……カレー?」
('A`) 「おう、そこの食堂のカレー」
男はもう一つの開いた席に、ドスリと腰を下ろした。
646 名前:閉鎖まであと 77179 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:33:41.81 ID:VaV6vu/X0
('A`) 「早く食えよ、覚めるぜ?」
「お前……なんてことを!!」
スタッフが慌ててその男を取り押さえる。
そして、その椅子から引きずりおろした。
「すいません!!この男はスグにクビに──
川 ゚ ー゚)「いや、そこにいさせてやってくれないか?」
驚いて、すぐに手を話すスタッフ。
もう一度、私は口を開けた。
川 ゚ ー゚)「別に構わん、と言っているんだが」
「は……はい!!」
そのアルバイトは立ち上がり、ポンポンと服を叩いた。
そして、もう一度椅子に腰をかける。
('A`) 「アンタいい人ッスね」
川 ゚ ー゚)「別に食事の邪魔になる分けではないからな」
('A`) 「へぇ〜……」
私はカレーを口へと移す。
その時、大きな具に気づいた。
('A`) 「カレーといえば、チキンカレー」
648 名前:閉鎖まであと 77018 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:36:22.13 ID:VaV6vu/X0
軽くその男と会話をした。
周りは異様な光景を見るかのように、絶句していた。
そんなに、私が人と話すのがおかしいか。
('A`) 「俺……このアルバイト終わったら、結婚するんスよ……」
川 ゚ -゚)「ほう、お前でも彼女とかがいるのか」
('A`) 「一応……。ちゃんとした職につけたら、結婚するんスよ」
川 ゚ ー゚)「それはおめでたい」
次の瞬間、男の姿が消える。
何事?すぐにその答えは出た。
私のマネージャーが、その男を蹴り飛ばしたのだった。
650 名前:閉鎖まであと 76998 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:36:42.88 ID:VaV6vu/X0
川;゚ -゚)「……」
蹴られた男からは血が噴出していた。
なぜ?蹴られただけなのに?
「テメェ……クーちゃんに慣れなれしすぎるんだよおおおおおお!!!」
マネージャーの蹴りがもう一度決まる。
その瞬間、靴の裏に画鋲が確認された。
それも、相手にささるような形で。
「俺のクーちゃんはだれにも渡せねええええええええええ!!」
いつものあのマネージャーではない。
狂っている。
(;'A`) 「何事なんだよ!!」
マネージャーの蹴りに、男は逃げ惑う。
数秒後、マネージャーは警備によって連行されていった。
651 名前:閉鎖まであと 76975 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:37:05.08 ID:VaV6vu/X0
何事もなかったかのように再開
653 名前:閉鎖まであと 76936 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:37:44.35 ID:VaV6vu/X0
「はーい!いいよ〜!」
私に向けられるカメラ。
監督の指示。
全てに神経を注いだ。
「よし!そこでもう少し──
('A`) 「もう少し、胸を強調させてみよう」
監督の指示の途中、男が口を挟んだ。
ここまで着たら、もうバカとしかいいようがない。
「バカ!テメェは黙ってろ!!」
('A`) 「それとか、お尻を出すとか……」
「バカッ!!お前アイドルに向かって……!」
('A`)「アイドルって言ったって人間だぜ?」
「あのお方は特別なんだよ!そこらへんのAV女優と一緒にすんな!!」
('A`) 「そうなのか?クー」
初めて呼び捨てされた。
私を呼ぶものは、いつもクーさん、クーちゃん。
どこか、距離を感じさせるもの。
川 ゚ -゚)「──私は……」
('A`) 「それとも、私は大便もしない、清楚な存在とでも?」
654 名前:閉鎖まであと 76918 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:38:02.32 ID:VaV6vu/X0
川#゚ -゚)「アイドルだってうんこするんだ・・・スカトロ好きなんだ!」
655 名前:閉鎖まであと 76863 秒[] 投稿日:2007/01/22(月) 22:38:57.35 ID:VaV6vu/X0
終わりです。
ごめん、最初から最後までむちゃくちゃ。
短編を書く根性さえない。
とりあえずお題くれた人、見てくれた人ありがとう。
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