72 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/09(金) 22:21:59.15 ID:ct0fUz+u0
( ・∀・)「……速いな。アルターか?」
( ^ω^)「これは自分の脚力(あし)だお。アルターは別」
つま先に力を込め、数回その場で飛び跳ねる。癖とも言える、彼なりの準備運動。
一方、相手は、撫ぜるように手のひらを地に乗せた。
( ・∀・)「行くぜェ……!!」
男の体が虹色に発光する。途端に、周囲に変化が起きる。
独りでに物が、土が、踏み場さえもが消失していく。
いや、消失しているのではない。分解された上で、再構築されている。
( ^ω^)「おっおっお。お手並み拝見だお」
( ・∀・)「随分と気楽なもんだなァ……。悪いが、こっちは手加減なんざする気はないからなァ!!」
浮遊した物質は男の両肩に吸い寄せられ、少しずつ形を成していく。
銃口らしき部品を元手に、肩から頭部へ、身体を覆い出す。
( ^ω^)「なるほど。融合装着型……」
男はその場で肩幅以上に股を開くと、形成したばかりのアルターを起動させる。
73 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/09(金) 22:22:25.04 ID:ct0fUz+u0
足元に転がっていた石ころが数個、先ほどのように瞬時に消えた。
それもやはり消えたのではなく、分解され再構築されている。
この能力者が、意図的に行ったのであろう。
( ・∀・)「充填完了!!」
高らかに男がそう叫ぶと、両肘を引き、先ほどから顔色一つ変えない男に銃口を向ける。
( ・∀・)「死ィ……!! ……あ、あれ……?」
( ^ω^)「遅い。遅すぎるお」
気付いた時には既に彼はアルターを失っていた。
その様はあまりに不格好で、丸腰そのものだった。
( ・∀・)「な……何を!?」
( ^ω^)「昔の速い人が言ってたお? あくびがあくびで殺せる程スローリィ〜♪」
お世辞にも綺麗とは言えない声色で、自分でもよく分かっていない音に合わせて言葉を紡ぐ。
いつのまにか、目の前には巨大な何かが。
それこそが彼のアルターであることを、男が理解するのに時間は掛からなかった。
「や……やめ……うわああああぁぁぁああぁ!!!!!!」
「今更命乞いって……。それは格好悪すぎだお」
74 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/09(金) 22:22:53.33 ID:ct0fUz+u0
( ^ω^)「最近は装着型が増えたお」
アルターにも種類がある。自立稼動、融合装着、他にもその本人しか知りえぬ能力。
中でも近頃、能力者本人の体に直接アルターを付着させる融合装着型が増加しているようだ。
( ^ω^)「別に姿形は好きにすればいいお。ただ、実力が伴っていなければどれも変わらないお」
アルターの造形は能力者の意志によって決定する。
その形に変化が現れるのは、能力者の深層意識に変化が起きた時と同様だ。
それ故、滅多なことでは一度形成したアルターが形を変えることはない。
( ^ω^)「……僕も。もっと強くならないといけないお」
先ほどの男は地に倒れ全く動かない。
そんなことには目もくれず、彼はその場から立ち去った。
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