91 名前:愛のVIP戦士[かぶったらゴメソ] 投稿日:2007/02/01(木) 20:06:54.64 ID:xiV5jhV2O
なんでもない、いつもの一日。
寝坊した俺は慌てて制服を着込み、家を飛び出た。
道を走りながら、急いで荷物の確認をする。
スパイク、タオル、練習着。
携帯に財布、折りたたみ傘。
よし、全部入ってる。おk。
天気予報通り、空は灰色の雲で覆いつくされていた。
――あぁ、昨日の内に傘買っといて良かったぜ
そんな事を考えていると、一匹の野良猫が姿を現わす。
毛を逆立て、牙を剥いて俺に向かってきやがった。
92 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:09:16.32 ID:xiV5jhV2O
(,, ゚Д゚)「なんだ?このヌコ、妙にうるせぇな」
ミ,,゚Д゚彡「ギコーン!ギコーン!」
(,, ゚Д゚)「あんましヌコは好きじゃないんだよな……」
薄い茶色の猫。
通学途中の俺は、道を塞ぐ物体にたじろいでいた。
ミ,,゚Д゚彡「ギコーン!ギコーン!」
(,, ゚Д゚)「気持悪ぃ鳴き声だなwwwwそんなんじゃ一生野良のまま……」
ミ,,゚Д゚彡「ギ、ギコーン!!ギコーーン!!!」
うるせぇな。この猫にむかついた俺は、一喝した。
(,,#゚Д゚)「るっせぇぞゴルァ!黙ってろ!
俺は今からサッカー部の練習に行かなきゃいけねーんだよ!」
ミ,,;゚Д゚彡「……!」
93 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:10:16.29 ID:xiV5jhV2O
今日は土曜日。強豪であるVIP高校サッカー部は、朝から練習が入っている。
俺が自分で言うのもなんだがチームのエースで、キャプテンを務めていた。
(,, ゚Д゚)「くっそ、ただでさえ遅刻しそうってのに……
ええぃ、どけ!踏み潰すぞゴルァ!!」
ミ,,゚Д゚彡「ギコーン!ギコーン!ギコーン……」
何かを訴えるような鳴き声。
悪いな、今の俺には邪魔な声にしか聞こえない。
怒り心頭に達したので、猫の脇腹辺りを蹴り飛ばした。
猫は痛そうに倒れ、その隙に俺は道を通る。
(,, ゚Д゚)「ったくよ、最初から邪魔しなきゃよかったんだぜ?」
95 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:12:52.88 ID:xiV5jhV2O
ミ,,゚Д゚彡「ギコーン!」
俺は捨て台詞を吐いてから、日頃鍛えた両足で地を駆ける。
野良猫はずっと俺の背中を眺めていた。
ミ,,゚Д゚彡「ギコン……ギコーン」
ほんやくコンニャクでもないと理解出来ない鳴き声。
いや、とりあえず人間にはわかるはずがない。
??「おぉ、よしよし……ひどい事をされたモナね」
しかし、この男は返事を返した。
何者だろうか。少なくとも常人とは考えにくい。
ミ,,゚Д゚彡「ギコーン……」
??「大丈夫大丈夫。あの子にはわからせてあげるモナ
……しっかりと、『体験学習』ってやつをさせてやるから、安心しろモナ」
96 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:13:16.92 ID:xiV5jhV2O
猫はすごすごと歩いていき、近くの路地裏に姿を消す。
それを見送ると、謎の人物は声を荒げた。
??「ったく……言葉がわからないならまだしも、蹴るとは。
全くもって、不快極まりないモナ!」
いつの間にかあらわれた杖を振り回し、一言。
??「ちちんぷいぷい、モナモナモナーコ。
ギコに『体験学習』の洗礼を喰らわせろーモナ!」
光の筋が道の奥へ飛んでいった。
……そこで、俺の意識も飛んでいった。
ミ,,゚Д゚彡ギコの長い一日のようです
97 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:13:55.24 ID:xiV5jhV2O
――――
―――
――
―
ミ,,゚Д゚彡あ
ミ,,゚Д゚彡「…………やべ、遅刻するわ」
意味はわからないが、そう思った。
だが、立ち上がろうとすると何故かふらつく。
ミ,,゚Д゚彡「あ、あれ?」
倒れるのを防ぐため、ぐっと手を付く。
そこに目をやると、毛むくじゃらのか細い腕が見えた。
98 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:14:36.29 ID:xiV5jhV2O
ミ,,゚Д゚彡「mjd?」
混乱する頭で状況把握を始める。
俺は何故この状況になったかを考えて、三つの案を出した。
ミ,,゚Д゚彡「・夢に間違いないでしょう
・どう考えても今では判断材料が足りません
・うひょひょ!女の子のパンツが見放題!」
ミ,,゚Д゚彡「三つ目はどうみても案じゃありません。本当に(ry」
なんで俺が猫になってんだ?
全く状況がわからない。とりあえず今わかっている事整理するか。
99 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:15:50.35 ID:xiV5jhV2O
ミ,,゚Д゚彡「ま、まずはここが路地裏の空き地で……
俺は茶色い猫になって横になってやがった。
催眠術とか、夢オチとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。
もっと恐ろしい予感がするぜ…………」
そこまで独り言を言い終わると、目の前を中学生が通る。
三人組で、少しDQNくさい感じだが、声をかける事にした。
ミ,,゚Д゚彡「なぁ、こっちを見てくれ。俺をどう思う?」
返って来た答えに、俺は耳を疑った。
100 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:16:38.44 ID:xiV5jhV2O
中学生A「『ギコーン!!』だってよwwwwキモイwwww」
中学生B「うあ、こっち来たこっち来たwwwww」
ミ,,゚Д゚彡「ちょ、逃げんな!てめぇらなんかコメントしやがれ!」
くそ、なんで逃げんだよ。俺は逃げ惑う中学生を追った。
すると諦めたのか、一人の中学生が石を持って近付いて来る。
ミ,,゚Д゚彡「な、なんだよ。やっと話が通じたか…………」
中学生C「悪霊退散!悪霊退散!」
ミ,,゚Д゚彡「は!?…………
って、ちょwww石投げんな、いて、ゴルァ!やめろ!」
中学生A「やれやれwwwwぶっ潰せwwwww」
中学生B「顔に当たったら10点で体に当たったら5点なww」
身の危険を感じた俺は、通路に逃げ込む。
最近の中学生はこんなに手荒なのか……せちがらい世の中だぜ
ミ,,゚Д゚彡「ちぃ!一時撤退してやんよ!」
ギコ は にげだした!
101 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:17:06.53 ID:xiV5jhV2O
ミ,,゚Д゚彡「はぁ、はぁ…………一体なんなんだ……」
言葉が通じない。
何を言っても『ギコーン』と聞こえるらしい。
とりあえず夢じゃない。
ミ,,゚Д゚彡「十分過ぎる情報だぞゴルァ…………」
深い絶望に浸り、うなだれる。
頭を抱えている姿で周りを見渡すと、また人間が通った。
ミ,,゚Д゚彡(あれ?…………あいつら見たことある……)
102 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:17:55.85 ID:xiV5jhV2O
ギャルA「でさぁ〜今日宿題忘れりんこしちゃって〜」
ギャルB「マジバロスなんだけど〜ww休日に学校とかまぢだるい〜w」
見覚えのある真っ黒い顔。
聞き覚えのある緩んだ声。
視界に入るだけでイライラする存在。
ミ,,゚Д゚彡「あいつら、同じクラスの女どもじゃねぇか……」
俺は願った。必死に願った。
ミ,,゚Д゚彡。o O(こっちくんなこっちくんなこっちくんなこっちくんなこっちくんな
こっちくんなこっちくんなこっちくんなこっちくんなこっちくんな……)
ギャルA「あー!ちょー可愛いー猫見つけりんこ!」
ギャルB「まぢだ〜wwww暇だし遊んでやるかぁwww」
ミ,,゚Д゚彡「ついに/(^o^)\ミツカタ」
103 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:18:40.56 ID:xiV5jhV2O
反抗したらまた危険が身に迫るかもしれない。
仕方なく猫をかぶる事にした。(←ウマい!座布団一枚!)
ミ,,゚Д゚彡「ニャ、ニャーン」
ギャルA「やだ〜wwwキモーイwwwww」
ギャルB「ギコーン!とか何様のつもり〜?wwww」
ミ,,゚Д゚彡。o O(そうだ!俺の言葉は「ギコーン」にしか聞こえないんだ……
で、でもここは我慢しなきゃ。我慢我慢……もちつけ俺……)
ギャルA「実は〜、お菓子の食べ残しあるりんこなんだよね〜w
このキモイ猫にあげたら喜ぶかな?wwww」
ギャルB「マジ鬼才あらわるなんですけどぉ〜!
ところでぇー、食べ残しってなに〜??」
ギャルA「これこれ〜ww」
なんて事だ。奴が落書きだらけのバッグから取り出したのは……
104 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:20:00.50 ID:xiV5jhV2O
ミ,,゚Д゚彡「どうみてもポッキーです。本当に(ry」
普通猫にチョコをあげるもんなのか?
しかもドロドロに溶けてるし……食える訳がない。
ギャルA「喜びまくりんこ〜wwwwうれぴーwww」
ギャルB「早く食って!早く!美味いよ!」
地べたに放り投げといて何言ってんだコイツ。
溶けたチョコに砂がまとわりついて食えたもんじゃない。
無意識に立ち上がり、ポッキーを踏み潰した。
ミ,,゚Д゚彡「舐めんじゃねぇ!」
ギャルA「ちょwww二足歩行ktkrwwwww」
ギャルB「三次元ニャースktkrwwwwwうぇうぇwww」
105 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/01(木) 20:20:45.27 ID:xiV5jhV2O
ミ,,゚Д゚彡「はぁー、はぁー、やっと帰ったか……」
なんとか修羅場を脱した俺。
どっと疲労感を感じ、その場に倒れ込む。
ミ,,゚Д゚彡「やべ……眠いぞ……」
猫に天敵っているのかな。
もしいたら俺死んじまうだろ……状況的に考えて……
ミ,,゚Д゚彡「……あー……眠い……眠…………」
残念ながら睡魔に耐えられず、夢の世界に旅立った俺。
……これが夢ならもっとよかったんだけどな。
そこで見た夢は、どこか暖かかった。何か、いい匂いがした気もする。
(*;゚ー゚)「もー……こんなとこで寝てるし……」
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