164 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/29(月) 22:49:41.62 ID:w4nfykDtO
じゃあ投下。
ちなみに長編のワンシーン。
こんな文章を書いたのは初めてなんで、なんつーか卑下する訳じゃ無しに、見るにたえる文章か見てほしいんだ。
以下本編。
「本当にすいません・・・・・・」
「ああ、いや、気にしないで下さい」
Bブロック。
ギコは足をくじいた女性・・・・・・しぃと名乗った・・・・・・を背負ってAブロックへと歩いていた。
166 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/29(月) 22:52:21.79 ID:w4nfykDtO
ごめん追記。
顔がないのは携帯からだとおかしくなるから。
「あの、しぃさんは誰かとこの船に?」
知り合いがいるなら心配しているかもしれない。
「いえ、一人で来たんです」
「そうですか・・・・・・」
じゃあ彼氏はいないんだろうか。
そんなことが頭を過ぎって、ギコは慌てて頭から追い出した。
どんな時でも男は欲望に正直なのだ。
170 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/29(月) 22:56:07.69 ID:w4nfykDtO
これは続行していいのかな・・・・・・?
「・・・・・・実はフラれちゃったんです」
「え?」
そんなギコの心理を読んだかのような、いきなりの発言にギコは驚いたそぶりを見せる。
「だから、慰安旅行のつもりで来たんです。」
「それは・・・・・・何と言うか・・・・・・その・・・・・・」
言葉につまる。
「・・・・・・ゴメンなさい。見ず知らずの人にこんな話、迷惑ですよね」
「い、いや、そんなことは無いですよ」
雰囲気が重くなる。
なんとかして盛り上げねば!
自らの置かれている状況を忘れ、ギコは思考を巡らせる。
178 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/29(月) 23:10:39.18 ID:w4nfykDtO
>>176
気にしないでb
では>>164>>166>>170に続けて。
「勿体ないですねぇ、こんな綺麗な人をフるなんて」
「え?」
・・・・・・俺は何を口走っとるんじゃゴルァ!
全くもって考えていない言葉が口から飛び出して、ギコは混乱に陥った。
「あ、いやそのですね・・・・・・」
うまく継ぐ言葉が出てこない。
「ありがとうございます。お世辞でも嬉しいですよ」
「お世辞なんかじゃないです」
もう駄目だ。俺の口は俺からの独立宣言しやがった。
「本当に綺麗だと思いますよ、俺は」
「・・・・・・」
やりたい放題の揚げ句、口は彼の占領下に戻って来たが、時既に遅し。
彼は現実に引き戻され、二人とも黙り込んだ。
180 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/29(月) 23:13:24.59 ID:w4nfykDtO
「と、ところで何処に向かっているんですか?」
それからしばらくしてから、しぃが口を開いた。
「あ、ああ、警備員室です。もうすぐ着きますよ」
警備員室はB、D3ブロックにあり、ギコはBブロック側の警備員室を目指していた。
そして。
警備員室に着いたギコはしぃを背負ったまま言葉を失った。
181 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/29(月) 23:18:06.56 ID:w4nfykDtO
「・・・・・・なんてこった」
「酷い・・・・・・」
警備員室の中で、警備員が二人、あられもない姿で事切れていた。
両方とも顔見知りだっただけに、ギコの受けたショックは大きい。
「畜生・・・・・・」
顔を俯き、唇を噛み締める。
「大丈夫ですか?」
背負われたまましぃが聞く。
「あ!すいません!」
無意識に力を込めていた腕からしぃの体を開放し、ギコは部屋の中へと足を踏み入れる。
部屋奥の扉の鍵を開けた。
ギコが本来いる警備員室ならば趣味が高じた武装の数々があるのだが、ここに収納されているのはスタンロッドとフラッシュボムだけだった。
その内の二本と五つを取る。
182 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/29(月) 23:20:19.34 ID:w4nfykDtO
そして一本と三つをしぃに手渡した。
「念のためです。いい気分はしないとは思いますが、持っておいて下さい」
「・・・・・・分かりました」
しぃは一度頷き受け取って、スタンロッドをベルトとホットパンツに挟み、フラッシュボムは手提げ鞄の中に入れた。
「ここは隠れるには余り良いところじゃない。Cブロックを目指しましょう。足はもう大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「・・・・・・行きましょう」
ギコはそう言って、二人は警備員室を後にした。
後ろから忍び寄る影に気付かずに。
185 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/29(月) 23:25:57.04 ID:w4nfykDtO
Cブロックに向けて慎重に歩を進めるギコ達は、先程までとは打って変わり、
道の途中に転がる元乗客を見た。
ここら辺までは逃げ延びたのだろうが、犠牲となった人々は例外なくお尻に穴を開けている。
「見ちゃダメです」
必死の形相で耐えるしぃを引き寄せ、視界を奪う。
「ごめ・・・・・・なさい・・・・・・」
鳴咽を挟みながらしぃが泣き声で言う。
「貴方は何も悪くないです」
そんな彼女を慰めながら、ギコは自分の情けなさを悔やみ、スタンロッドを思い切り握りしめた。
186 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/29(月) 23:29:19.25 ID:w4nfykDtO
もっとちゃんと乗客達を誘導していれば、犠牲者はもっと少なかったかもしれない。
自分は自分に迫る恐怖しか考えていなかった。
警備員として失格だ。
この仕事に少なからず誇りはあったギコは、自分を責めるように並ぶ元乗客に、目を合わすことが出来なかった。
しかし、だからといって今この場を放棄できるわけではない。
この女性だけでも助けてやる。
それが彼らへの贖罪だと無理矢理に考えて、ギコは前を向いた。
188 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/29(月) 23:32:08.48 ID:w4nfykDtO
「・・・・・・もう大丈夫です」
しぃが涙を拭きながらギコの腕をゆっくりと離す。
「いつまでも怖がってちゃいけませんね」
ああ、強い女性だな、とギコは思った。
今度は「思っただけ」の筈だ。多分。
「誰だって怖いですよ。しぃさんが弱い訳じゃない」
敢えて彼女の方を見ないで、ギコは言った。
フフ、と笑って、しぃは言う。
「ギコさん優しいんですね」
心拍がシンバルのように跳ね上がった。
「い、いきなり何を・・・・・・言うんですかゴルァ」
思わず口癖が出てしまう。
「私もギコさんみたいなカレシがいればよかった」
ど真ん中ストライクですよ畜生!
「か、からかわないで下さい」
ギコは耳まで真っ赤に火照っているのを感じた。
勿論、こんなフラグ立ちまくりの二人に、並大抵じゃない災難が無い筈が無い訳で。
そしてそれはすぐに、きちんと二人分、やってきた。
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