465 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/28(日) 00:05:38.07 ID:ZvP8KU3q0
向かい風の中、長い登り坂が続いていた。
照りつけるような暑さが水分を奪い、地面の暑さが気力を奪う。
('A`) 「………………」
そんなアスファルトの道を、ドクオは歩いていた。
赤色のシャツにカッターを重ねたラフな着こなし。オマケに髪は自然ヘアー。
('A`) 「……バーボンハウスか」
ドクオは一つの店に目を留める。
黒を基調とした外見に、お洒落なシルバーの装飾が施されたバー。
('A`) 「文化祭の飲み物屋と同じ名前じゃねぇか」
少しの苦笑を残して、ドクオはバーボンハウスの扉に手を掛けた。
小さな鈴が唄うように音を鳴らし、バーはドクオを迎え入れた。
466 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/28(日) 00:05:55.98 ID:ZvP8KU3q0
(´・ω・`) 「やあ。ようこそバーボンハウスへ」
カウンターに立っていた男は、ドクオに笑顔を見せた。
蝶ネクタイの付いたスーツに、「ショボン」の名を掲げている。
('A`) 「コーラをくれ」
席に着くと同時に注文。
注文を繰り返したショボンは、お望みの品をテーブルに運ぶ。
('A`) 「ふぅ〜。生き返ったぜ」
乾いていた喉が潤う。
炭酸の適度な心地よさが体に染み渡り、ドクオの顔に笑みが浮かんだ。
(´・ω・`) 「よっぽど疲れてたんだね」
('A`) 「炎天下の中を歩いて来たんだぞ。そりゃ疲れる」
ショボンは笑いながらコーラを注ぐ。
それを受け取ったドクオは、それからコーラの瓶を一本空にした。
467 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/28(日) 00:06:10.76 ID:ZvP8KU3q0
(´・ω・`) 「部活。引退したんだってね」
('A`) 「ああ。一ヶ月前の駅伝に出たのが最後だ」
ドクオは陸上部に所属していた。足の速さは中の上。
元々陸上の弱い学校だっただけに、この走力は学校の要とも言える存在だった。
('A`) 「ま。そのお蔭で大学も推薦が決まった訳だが」
そう言って水を飲み干す。
グラスを受け取ったショボンは、そんなドクオに言う。
(´・ω・`) 「ふぅ。営業の僕には関係の無い話だね」
ショボンは兄のバーを手伝っている。
後々は兄を継いでバーボンハウスを受け継ぎ、営業していくのであろう。
('A`) 「お互い、勉学に関係の無い世界ってのは良いねぇ」
ドクオはニヤリと笑うと、ショボンの肩を叩いた。
469 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/28(日) 00:06:24.68 ID:ZvP8KU3q0
(´・ω・`) 「で、メールの件何だけどね」
ショボンは開いていた座席に座る。
何時に無く真剣な表情のショボンに、ドクオは目を向けた。
(´・ω・`) 「ドクオに聞きたい事があってさ」
('A`) 「聞きたい事? 昔馴染みならお前ぐらいしか知らねぇぞ」
ドクオとショボンは中学校の同級生だった。
頻繁にメールを交わす彼等。世間では腐れ縁と言う奴なのだろう。
('A`) 「俺はお前以外、あの頃のメルアドは知らねぇしな」
(´・ω・`) 「いやいや。そうじゃないんだよ」
ドクオの話を打ち切る。
不信に見つめるドクオに対し、ショボンは言葉を紡いだ。
(´・ω・`) 「盛岡がさ。やられたらしいんだ」
470 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/28(日) 00:06:37.86 ID:ZvP8KU3q0
(´・ω・`) 「頭蓋骨陥没してさ。今も意識不明」
('A`) 「相変わらず馬鹿やってんな。族の抗争にでも突っ込んだか?」
盛岡はクラスでも三本の指に入る悪ガキだった。
喧嘩は勿論の事。他校生との抗争も平気で行う男だった。
(´・ω・`) 「いや。コンビニのバイトしてたら後ろから」
ショボンは何かを振り下ろす動作をする。
おーおーと感嘆の息を漏らしたドクオは、ショボンに言った。
('A`) 「犯人分かってんのか?」
(´・ω・`) 「警察じゃ相手にされなかったって。アイツもチーム背負ってるらしいし」
相変わらず馬鹿やってるんだな。ドクオは密かに苦笑した。
チームを背負っていると言う事は、対抗するチームとの抗争もあるだろう。
そんな事を取り締まるほど、お回りさんは優しくないぞ、って事だろう。
(´・ω・`) 「でもね。犯人は分かってるんだ」
('A`) 「誰だ? 何処かのチームの構成員か?」
ショボンは無言で首を振る。
少しの静寂の後、ショボンは小さく口を開いた。
(´・ω・`) 「ブーンだよ」
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