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( ^ω^)ブーンが人間と袂を分かつようです



115 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:32:30.55 ID:jAU367vAO
西暦20XX年――ある天才によって人類は大きな一歩を踏み出した。誰もが願い、そして挫折していったロボットの実用化が、ついに現実のものとなったのだ。

('A`)「♪やらなーいか♪やらなーーいか♪」
(;^ω^)「ドクオ!新聞を見るお!」

ロボットは人間に従事していた。人間の為に生き、人間の為に壊れていった。
人間はそれを疑うことはなく――

(;'A`)「東京でクーデター!?」
(;^ω^)「……僕たち、どうなるんだお……」

――そして、足元を掬われたのだった。

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( ^ω^)ブーンが人間と袂を分かつようです

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116 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:32:55.41 ID:jAU367vAO
ロボットたちのクーデターは、一気に広まって行き、人間たちは困惑した。人間に危害を加えられぬプログラムは『安全神話』を紡ぎ出していたが、それが崩壊したのだ。
ここ、『流石研究所』でも同様の混乱が広がっていた。

(;´_ゝ`)「どどどどうするよ!?」
(´<_` )「時に落ち着け、兄者」
(#´_ゝ`)「落ち着いていられるか!俺たちの開発したロボットもクーデターに参加しているんだぞ!抗議の電話は鳴りっぱなしだ!
……手塩に掛けたロボットたちが……人を襲っているんだぞ……!
くそぉぉぉぉぉ!!!!」

足元から崩れ落ち、地べたに這いつく張らざるを得なかった。血涙がこんこんと沸き上がり、地面にしとしとと水溜まりを作り出した。
こんなことがあってたまるか、と絶望感が一挙に火の手を上げたのだ。

117 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:33:22.87 ID:jAU367vAO
(´<_` )「頭を冷やせ!……ところで、軍本部で科学者たちの会議が催されるそうだ。それに参加してから今後の身の振り方を考えよう」

弟者も涙していた。両足で立っていられるだけ兄者よりましだったが、今にも崩れ落ちそうな危うさを秘めていた。

(;´_ゝ`)「……わかった」

如何し難い罪悪感を抱えながらも、二人は一路、緊急に設置された軍対策本部へと向かう準備を始めた。

(;^ω^)「兄者さん、弟者さん。気を付けてお。ロボットたちに狙われたらイチコロだお」

ジャケットをもつ手は震えていた。

( ´_ゝ`)「留守番、頼むぞ。戸締まりはちゃんとしておくんだぞ」
(´<_` )「よし、行こう」

二人は手渡されたジャケットに袖を通すと、玄関から一歩踏み出した。

( ´_ゝ`)「あ、そういえばドクオは?」

兄者が思い出したように振り返ると、ブーンは首を傾げていた。

120 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:35:01.42 ID:jAU367vAO
( ^ω^)「たぶん、インターネットをやってると思うお。僕たちも気になるから……」
( ´_ゝ`)「……だよなぁ。じゃあ、行ってくる」
( ^ω^)「行ってらっしゃいだお」
(´<_` )「あ、そうそう」

今度は弟者が踵を返すと、その満面の微笑みがブーンの目に飛込んだ。

(´<_` )「帰ったら油差してやるよ」
( ^ω^)「……ありがとうだお!」

ああ、この二人は本当にロボットを愛しているのだ、とブーンは感極まった。
ロボットのことを人間のように扱う兄者。
そして、決して整備不良で手が震えたわけではないが、それすら気に掛けてくれる弟者。
ブーンはこの二人の元で働けることに、腹の底から神に感謝した。

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121 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:35:24.43 ID:jAU367vAO
(#´_ゝ`)「もう一度言ってみろ!?」

会議は早々に熱気を帯ていた。

/ ,' 3「だから、クーデターの拡大を防ぐため、現在、異常が見られないロボットたちを全て初期化しようと言っている」
(#´_ゝ`)「それがどういうことか、貴方も知っているはずだ!」
/ ,' 3「知っとるよ」

初期化――それは触れざるべき禁忌。ロボットたちの記憶、感情、人格を一つ残らず破壊せしめる最終手段。
それをさらりと言った荒巻に、兄者は激昂した。

(#´_ゝ`)「ロボットは機械にあって機械に非ず!……それは、貴方がずっと提唱してきた道徳でしょう!」
/ ,' 3「……そうじゃ」
( ´_ゝ`)「ならどうしてそんな馬鹿げたことを!?」
/ ,' 3「……馬鹿げただと?……貴様のようなヒヨッコに何が分かる!?貴様はいい!
ロボットと向き合った年月はせいぜい10年だからな!しかしワシは……ワシは人生を賭けた……。
それが全て否定されたのだ!貴様なんぞよりよっぽど絶望しておるわ!」
(;´_ゝ`)「ぐっ……」

122 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:35:57.60 ID:jAU367vAO
/ ,' 3「だからこそ、だからこそなんじゃ……。やらねばさらなる絶望が待っている……。ワシとて辛い……。
しかし、生み出した責任があるのじゃ。責任は全うせねばならん。たとえ、どんなに辛くともな……」

誰も荒巻に反論できず、静寂が一面を包んだ。ロボットの先駆者かつ功労者たる者の苦渋の決断に、誰が反論できようか、とその場にいた全員は納得するしかなかったのだ。

(´<_` )「……ところで、現在クーデターを起こしているロボットたちへの対応は如何しましょう?」
/ ,' 3「ロボットには、ロボットじゃ。
ここにいる皆で新たなプログラムを組み、クーデターに対抗しうるロボットを作り出すのじゃ」

荒巻を中心とした科学者たちによって、作戦の概要が構成されていった。何日にも及ぶ議論の末、ようやく大まかな計画の骨組みが出来上がり、その計画のコードネームは、『ロックマン』と銘打たれたのだった。
既存のロボットで、クーデターに参加していないロボット、つまり人間に対する忠誠心が高い素体を兵器として改造する計画である。
後日、各々が心当たりのあるロボットを提供し、最も適した素体を選び出すことが決まったのだった。

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125 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:37:57.54 ID:jAU367vAO
満月が天高く登り、闇夜の中でただ一つ輝いていた。

(;^ω^)「遅いお……」

いくらなんでも遅すぎる、とブーンは不安に駆られた。何日も連絡はなく、刻一刻と時間は過ぎるのみであった。

('A`)「♪やらなーいか♪やらなーーいか♪」
( ^ω^)「いい加減きめぇwwwwww」
('A`)「心配しても仕方なくね?その内、帰ってくるさ」
( ^ω^)「だといいけど……」

その時だった。

( ´_ゝ`)(´<_` )「ただいま」
( ^ω^)「おかえりだお!……ってどうしたんだお!?」

髭は伸び放題に伸び、髪はくしゃくしゃで手入れが行き届いていないのが目に見えていた。

( ´_ゝ`)「ずっと詰めてたからな。とりあえず風呂を沸かしてくれないか?流石に気持ちが悪い」
(´<_` )「気持ちが悪いという自覚はあるんだな」
(#´_ゝ`)「なんだと」

二人の掛け合いが、ブーンに安心をもたらした。もう不安に駆られることもないと胸を撫で下ろしていた。

127 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:39:29.21 ID:jAU367vAO
( ^ω^)「……直ぐ沸かすお。ドクオは食事を頼むお」
('A`)「あいよ」

直ちに準備に取り掛かった二人。ドクオも何処となく嬉しげであった。それと同時に、ブーンは心の何処かで何かが引っ掛かっているのを感じていた。

( ^ω^)「油差してくれるって言ってたのに……」

しかし、仕事をせねばならないので、それにかまけている暇はなかった。

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128 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:39:57.27 ID:jAU367vAO
湯煙が天井に立ち込め、水滴となって湯船にぴちょんと音を立てた。湯加減は抜群で、ブーンの勤勉さが手にとって分かるようだった。

(´<_` )「なぁ、なんで一緒に風呂に入ってるんだ、俺たち」
( ´_ゝ`)「うほっ」
(´<_`#)「オイル飲むか?」
( ´_ゝ`)「まぁ待て。……『ロックマン』計画の話があってな」

神妙な面持ちになった兄者につられて、弟者の背筋が伸びた。

( ´_ゝ`)「俺はブーンを推そうと思っている」
(´<_` )「そうだな……」

正直、愛着のあるロボットを戦場へ送り出すのは憚られるが、それ以上に二人はブーンを信頼していた。彼なら裏切ることはない、と確信めいたものがあったのだ。

(´<_` )「それに、初期化するのも忍び無いしな。ドクオは残念だが……。しかし、首を縦に振ってくれるかな?」
( ´_ゝ`)「それは心配ないだろう。あいつなら二つ返事で答えるだろうよ。
……俺から言っておくよ」

129 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:40:20.24 ID:jAU367vAO
それから二人は何も言わず黙り込んだ。一から組んだプログラム。選び抜いた素材。丹誠を込めた組上げ。
ブーンが生まれ出ずる過程の一つ一つを噛み締めていたのだ。初めて組んだロボット、言い換えればプロトタイプ故に、初めは立つことも出来なかった。二人で四苦八苦しながら調整を繰り返した。
初めは喋ることさえ叶わなかった。二人で試行錯誤を重ねながら言葉を教え込んだ。結果、独特な訛りが消えることは無かったが。
彼がいたから、自分たちがある。彼は流れの源であり、その後に送り出したロボットたちの長男であるのだ。

( ´_ゝ`)「……あいつは、手が掛ったな」
(´<_` )「初めての試みだったからな」
( ´_ゝ`)「でも、あいつのお陰で、今があるんだよな……」
(´<_` )「……ああ」
( ´_ゝ`)「あいつに頼ってばっかりだな……」
(´<_` )「……ああ」

その長男たるブーンが弟たちを殺す使命を果たさねばならないかもしれないのだ。そう思うと、二人には自然と涙が溢れ、止まることなく湯船に吸い込まれて行った。

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132 名前:85[ロックマンにインスパイア] 投稿日:2007/02/01(木) 20:41:52.85 ID:jAU367vAO
仕事が一段落し、ブーンとドクオはテレビの前に向かっていた。

('A`)「ニュース特番ばっかりだな」
( ^ω^)「……うん」

逐一報告されるクーデターの状況。レポーターの命がけの報道は、見る者たちの目頭を熱くさせた。

('A`)「こっちは議論か」

ふとドクオが回したチャンネルでは、コメンテイターたちが議論に明け暮れていた。
今後の対策だの、ロボットのこれからだの、議題は尽きなかった。

『ニュース速報』
『ニュース速報』

( ^ω^)「おっ?」

点滅するテロップ――

『ロボット初期化法案が可決』
『ロボット初期化法案が可決』

(;^ω^)(;'A`)「……!」

その瞬間、ブーンは心のもやが一気に晴れた気がした。しかし、その晴れ間は黒ずんだ、闇に覆われた晴れ間だった。

――それが、歪みの始まり――

――つづく



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