( ^ω^)が目覚ましをかけ忘れたようです
152 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:54:53.20 ID:OyBXyWOs0
――――キーンコーンカーンコーン…
(; ゚ω゚)「アッ―――――――!!」
すぐそこの曲がり角の先から聞こえるチャイムの音。
それを耳にしたブーンは絶望的な叫び声を上げながらも見事なドリフトを決めそこを曲がった。
曲がり切った先で目に飛び込んできたのは満開の桜並木。
道の両脇に等間隔で植えられた木々が織り成すピンクのトンネルと桜吹雪は、
さながらその下を通る人々に祝福を与えているようであった。
……が今のブーンにはそんなことを感じるだけの余裕が無かった。
――カーブで殺されたスピードを上げるために、しっかり前を見据え足に力をこめて…
(; ^ω^)「フ゛――――――――――ン!!!」
全速力で走る視線の先に見える校門。
『私立VIP高等学校』
ブーンが通う学び舎の名がそこに記されていた。
そしてその前には『入学式』と書かれた看板が紙の造花に彩られて立っていた。
……そう。彼、ブーンこと内藤ホライゾンは入学初日から寝坊により遅刻寸前なのである。
153 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:55:43.61 ID:OyBXyWOs0
校門まで辿り着いたブーンは視線を少し上に上げ校舎に備え付けられた時計を確認する。
始業五分前。
(; ^ω^)(どうやらさっきのチャイムは予鈴だったようだお)
……今四分前になった。
(; ゚ω゚)「どっちにせよやばい事に変わりは無かったおー―!」
叫んでブーンはさらに加速――
「待ちなさいよ内藤!!」
――しようとした所で聞き慣れた声に呼び止められる。
(; ^ω^)「お?」
声の方に振り向くと、
ξ #゚听)ξ
腕を組み、仁王立ちでまっすぐにこちらを睨む幼馴染の姿があった。
(; ^ω^)「ツン!?」
小柄なのに妙な威圧感のある少女に一瞬気圧される。
そんなブーンの様子を気にした風も無くツンは引きつった笑みを浮かべながら詰め寄ってきた。
154 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:56:14.35 ID:OyBXyWOs0
ξ #゚听)ξ「ずいぶんと、遅かったじゃないの」
開口一番怒気を孕んだ声でブーンを糾弾する。
(; ^ω^)「ツンも遅刻かお?」
愛想笑いを浮かべてごまかすように尋ねる。
ξ #゚听)ξ「 ! 」
ツンの表情が強張り、顔がどんどん赤くなる。
(; ^ω^)「何でこんなところに突っ立ってたんだお?急いだ方がいいお」
ξ #゚听)ξ「〜〜〜〜〜〜〜〜!」
ブーンの言葉にみるみる怒りのボルテージを上げるツン。そして、
( ^ω^)「っていうかなんでいつもみたく起こしに来てくれなかったんだお?」
この一言が引き鉄となり
ξ #゚听)ξ「こンの、アホ―――――――――――――!!!!!11」
爆発した。
(; ^ω^)「おっ!?」
ξ #゚听)ξ「あんたが校門で待ち合わせって言ったんでしょおがっ!!!」
155 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:56:40.36 ID:OyBXyWOs0
(; ^ω^)「そ、そうだったかお?」
ξ #゚听)ξ ビキビキ
怒りのあまり真っ赤になったツンはそれでも苦労してそれをこらえて、
ξ ゚听)ξ「言いたい事は山ほどあるけど…」
始業三分前を指す時計を見ながら言う。
ξ #゚听)ξ「時間が無いからあとでじっっっっっっっくりと聞いてもらう事にするわ」
(; ^ω^)「はい」
尋常じゃないほどに据わった目で言う彼女に対し、ほかに答えようがあろうものか。
ξ゚听)ξ「ほら、私たちのクラスはB組よ」
クラス分けが張り出された掲示板を指しながら言うツン。
( ^ω^)「同じクラスかお?」
ξ゚听)ξ「そーよ。ほら走る!」
(; ^ω^)「ちょ、待ってくれお!」
ξ #゚听)ξ「これ以上待てるかっ!」
いつも通りの調子で言い合いながら二人は玄関の方へと駆け出した。
156 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:57:04.37 ID:OyBXyWOs0
校舎に入った二人はまず自分たちの靴箱を探す……ような事はしなかった。
( ^ω^)「時間が無いからそのへんに脱いでおいて、休み時間にでも入れに来ればいいお」
ξ゚听)ξ「…しょうがないか。」
靴を脱ぎ捨て廊下に上がる二人。
ξ゚听)ξ「スリッパくらいあると思ったんだけど…」
( ^ω^)「ない物はしかたないお。上履きに履き替える時間も惜しいしそのままいくお」
ξ゚听)ξ「うう、靴下汚れる…」
言いながらも二人は目の前の校内地図で1−Bを探して…
ξ;゚听)ξ「…あ」
(: ^ω^)「うはwwwwww」
…その教室の表示を見つけたのは同時だった。
ξ;゚听)ξ「四階…」
(: ^ω^)「…間に合うのかお?」
絶望的だった。
157 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:57:32.47 ID:OyBXyWOs0
);^ω^)「痛いお。顔がゆがんだお」
階段を駆け上がりながら、顔を変形させたブーンが後ろを走るツンに対し恨めしげに言う。
ξ #゚听)ξ「自業自得よっ!!」
);^ω^)「不可抗力だお…」
――先ほど二人に若干のトラブルがあった。
進行方向を見据えるブーンの視線がツンの絶対領域を越え、
その領空侵犯に対するツンの制裁により、深刻な損害を被ったのである。
要約すると即ち――
『何気なく階段で上を見上げたブーンはツンのぱんつを見てしまいそれに気付いたツンに
芸術的なまでに美しくも破壊的なローリングソバットを顔面にもらって);^ω^)こうなった』
――である。
);^ω^)「だから謝ってるお。反省してるお……」
ξ #゚听)ξ「全然そんな風に見えないっ!全くあんたはいつもいつも…」
);^ω^)「うう…」
ξ #゚听)ξ「ちょっと!聞いてr…」
ズルッ
158 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:57:50.81 ID:OyBXyWOs0
ξ゚听)ξ「あっ」
ツンが足を踏み外す。
) ^ω^)「ツンッ!」
バランスを崩すツンにブーンはとっさに手を伸ばす。
――この時
ガシッ
ξ゚听)ξ「わっ…」
――二人は
);^ω^)「…っと」
――約十年ぶりに、手をつないだ。
159 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:58:10.95 ID:OyBXyWOs0
――胸が高鳴る
ξ゚听)ξ「あ……」
――久しぶりにつかんだ、内藤の手。
);^ω^)「だ、大丈夫かお?」
――その手は思っていた以上に大きくて
ξ゚听)ξ「う、うん…」
――でも思い出の中と同じように暖かくて
ξ゚听)ξ「ありがとう」
――私を安心させてくれた。
);^ω^)「だ、大丈夫ならいいお!」
ブーンは慌てて手を離す。
ξ゚听)ξ「あっ…」
);^ω^)「お?」
ξ///)ξ「……なんでもない」
ツンの顔は、校門のときとは違う理由で赤くなっていた。
160 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:58:34.14 ID:OyBXyWOs0
ツンの無事がわかったとたんブーンは軽口を叩く。
) ^ω^)「まったく、ブーンに跳び蹴り決めたときはきれいに着地してたのに…」
ξ;゚听)ξ「そ、そんなの知らないわよ」
ツンの口調には、恥ずかしさとバツの悪さからかいつもほどのキレが無い。
) ^ω^)「ツンはいつも肝心なところで間が抜けてるからほっとけないお」
ξ;゚听)ξ「ま、間抜けとかほっとけないとか、あんたにだけは言われたくないわよっ!」
――そこまで言い合ったところで二人は階段を上りきる。
);^ω^)「間に合ったかお?」
ξ;゚听)ξ「そ、そうね。何とか…」
……ブツッ…ジ―――――――――……
――スピーカーのスイッチが入る微かな音。
);^ω^)「……」
ξ;゚听)ξ「……」
――キ
); ゚ω゚);゚听)ξ「アッ――――――――――――――――!!!!」
チャイムが鳴り始めると同時、二人は我先にと駆け出した。
161 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:58:56.58 ID:OyBXyWOs0
――――ガラッ!
);^ω^)「遅れてすみませんお!!内藤ホライゾンです…お?」
1−Bの教室。
前の黒板に大きく『入学おめでとう!』と書かれているだけでそこには誰も居なかった。
ただチャイムの余韻が妙に大きくオンオンと響いていた。
ξ゚听)ξ「な、なんで誰もいないの!?」
ツンのその疑問に対する答えは一拍置いてやや遠くから聞こえてきた。
『……ただいまから、平成1X年度、VIP高等学校入学式を執り行います。』
);^ω^)「」
ξ;゚听)ξ「」
…その中年のおっさんの声は完膚なきまでに体育館の方から聞こえてきた。
);^ω^)「ツン…?」
ξ;゚听)ξ「な、何よ?」
);^ω^)「どうやら、新入生は体育館集合なんじゃないかお…?」
ξ;゚听)ξ「そ、そうかも…」
『…新入生の皆さん!ご入学、おめでとう!!』
162 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/01/26(金) 23:59:22.13 ID:OyBXyWOs0
――沈黙。そして…
)# ゚ω゚)「ツンのアホ―――――――――――!!」
怒号。それに対する答えも…
ξ#゚听)ξ「元はと言えばあんたが遅刻したせいでしょうが―――――――――!!」
また怒号。
)# ゚ω゚)「なんでちゃんと確認しとかないんだお!!!?」
ξ#゚听)ξ「うるさい!あんたに言われたくないわよ!!」
)# ゚ω゚)「大体ツンはいつもいつもいつも……!!」
ξ#゚听)ξ「あんたこそいつもいつもいつもいつも……!!」
…この不毛な怒号の応酬は騒ぎを聞きつけた教師が駆けつけるまできっかり15分続き、
その間真下の階の上級生たちにただで笑いを提供し続けることになる。
ξ#゚听)ξ「この、バカー―――――――――!!!!11」(゚ω゚ #(
めでたくもあり めでたくもなし
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