( ^ω^)ブーンは引越し屋さんのようです
798 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/11(日) 21:32:24.99 ID:60VvW1SwO
>>796 d。
「( ^ω^)ブーンは引越し屋さんのようです」
桜の花もちらほらと咲き始めた、春先のある日。
( ^ω^)「あーざーっした」
('A`)「お疲れさまっしたー」
お世辞にも丁寧とは言い難い、しかし勢いだけはある挨拶を残して
薄水色の作業服を着た二人の青年が、真新しいマンションを後にした。
彼等の乗るトラックには「クオリティ引越しセンター」の文字。
( ^ω^)「今日も疲れたおー」
ハンドルを握るのは内藤ホライゾン。
肉付きがよく、穏やかな笑顔が印象的だ。
('A`)「上がったら、飲みにでも行くか」
助手席に座るのはドクオ。
陰気な顔付きで、伸びすぎの黒髪を無造作に束ねている。
800 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/11(日) 21:33:56.33 ID:60VvW1SwO
( ^ω^)「だったらジョルジュも誘うお。
こないだスロットで勝ったって言ってたお」
('A`)「マジか。よし、拉致決定だな」
軽口を叩きながら、事務所へ戻る。
沈みかけた夕日が行き交う車に反射して、きらきらと眩しい。
ドクオがペットボトルホルダーの麦茶に手を伸ばした時
内藤の胸ポケットで携帯電話が震えた。
(* ^ω^)「あんっ、感じちゃうお」
('A`)「キメェ」
ひょいと取り上げて、着信確認。
('A`)「──ショボンだ」
( ^ω^)「!」
車内に、緊張が走った。
('A`)「あー、もしもし?」
『やぁ。仕事は終わった?』
('A`)「まあな。今から飲みに行くかって話してたとこだ」
『…そうか』
801 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/11(日) 21:34:41.78 ID:60VvW1SwO
('A`)「けどまぁ…無理そうだな」
ドクオは肩をすくめる。
『すまない。
今から、仕事頼めるかな』
('A`)「あー」
ドクオの視線を感じて、内藤はこくりと頷いた。
信号は青。ゆっくりと左折して、トラックは事務所とは反対方向に走り出す。
市街地を抜けて、木々の欝そうと生い茂った山道。
既に日は暮れて薄暗い。
青紫色の空には、真っ白い月が浮いている。
( ^ω^)「いつ来ても気味悪い道だお」
砂利にタイヤを取られないように気をつけながら、内藤は愚痴を零す。
目指すのは、ほとんど人の立ち入らないような山奥にある廃屋。
それなりに大きな外観を持つ屋敷は、昔どこかの金持ちが静養に使っていたと聞く。
802 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/11(日) 21:36:27.74 ID:60VvW1SwO
ドクオが、錆ついた門を軋ませて開く。
その横を通り抜けて、内藤は玄関前にトラックを止めた。
( ^ω^)「こんにちはですおー」
('A`)「クオリティ引越しセンターでーす」
誰もいないのを知っているが、挨拶は欠かさない。
もしも「はーい」なんて返事が聞こえたら、それこそ泡食って逃げ出すだろう。
内藤とドクオは、ポケットから取り出した軍手をはき、玄関を開ける。
( ^ω^)「お邪魔しますお」
迷う事なく階段を上り、一番奥の部屋へ。
月明かりに照らされた洋間の、窓際の壁に、美しい少女が座っていた。
ξ゚听)ξ「…」
( ^ω^)「──」
('A`)「これはまた…中々のご趣味で」
ドクオが吐き捨てる。
804 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/11(日) 21:38:31.58 ID:60VvW1SwO
ぴくりとも動かない。
少女の真っ白なワンピースに、どす黒い染みが見えた。
('A`)「お嬢さん、引越しですよ」
生きていたならきっと、林檎の果実のように
朱く色づいていたであろう少女の頬を撫でて、ドクオは内藤に目配せする。
( ^ω^)「段ボールと…ガムテープを取って来るお」
駆け出した内藤の背中を見送り、ドクオは溜め息を吐く。
('A`)「何やってんだ…俺ら」
力のない声は、夜に吸い込まれて消えた。
あんまり長くなったらいけないと思って
ここまでしか書いてないんだ。
続き気になってくれる人いるかな
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